虫歯の症状と進行の冒頭でご案内した通り、当院の虫歯の治療は虫歯を削って治すだけの治療ではありません。

患者さんの将来の健康を考慮した“ひとつひとつの処置を丁寧・確実にする虫歯治療”です。

また、虫歯の治療には様々な治療方法があります。
保険診療は口腔機能の回復に重点が置かれた治療で、自費診療は口腔機能の回復と見た目（審美性）の両面を追求することができます。
また、軽い症状の場合は予防処置で治すこともできます。

以前治療した金属の詰め物やかぶせ物は、金属アレルギー対策として、安全で天然歯と同じようなセラミックス材で治療（ノンメタル治療）することができます。

自費診療の詰め物やかぶせ物は審美歯科のページをご覧ください >>

■ ＴＢＩ（歯磨き指導）

歯磨きは虫歯を予防する最も有効な口腔ケアです。
Ｃ０やＣ１レベルの軽度の虫歯であれば歯磨きだけで治癒する可能性もありますが、そのためには歯の隅々まできちんと磨けていなければなりません。
ＴＢＩでは染め出しによる磨き残しチェックをおこない、患者さんに合った正しい歯磨き方法を説明します。

口腔ケアを効果的にできれば、虫歯を削らずに治すことができるかもしれません。

■ ＰＭＴＣ（専門的クリーニング）

ＰＭＴＣ（ProfessionalMechanicalToothCleaning）は予防歯科先進国スウェーデンでシステム化された専門的な歯のクリーニングです。
口腔内を徹底的にきれいにすることで、細菌の温床であるバイオフィルム（歯垢や歯石）を除去します。

唾液には虫歯に溶かされたエナメル質を修復する力（再石灰化）が備わっています。
ＰＭＴＣをＴＢＩやフッ化物歯面塗布法と併用することで自然治癒力を高め、症状の軽い虫歯の治癒を目指します。

■ フッ化物歯面塗布法

フッ素には歯の再石灰化を促したり、虫歯菌の活動を低下させる働きがあります。
そのため、小さな虫歯であればフッ素と唾液の力で虫歯を自然治癒させることが可能です。

実際の治療ではフッ素を有効に働かせるために口腔内のクリーニングをおこなってからフッ化物を歯面に塗布します。ＴＢＩ（歯磨き指導）も同時におこない、ご自宅での適切な口腔ケアの方法についてもご説明します。

■ コンポジットレジン充填法

光を照射すると硬化する性質（光重合）を持つ軟性レジン（プラスチック材）を塗り固めながら歯の形態を修復（積層法）する治療法です。

保険診療では一般的な治療方法となっており、インレー（修復物を詰める治療）よりも短期間に治療を終えることができます。
また、応用範囲が広く、欠けた歯の修復やすきっ歯の改善など用途も様々です。

保険診療では適用が認められた軟性レジン材を使用します。
安価であることが最大の魅力ですが、治療工程もシンプルになり、次の説明のコンポジットレジン充填法と比べると修復した歯の色調や形態などが若干落ちます。

■ ダイレクトボンディング法

コンポジットレジン充填法とほぼ同じ治療ですが、修復材が軟性レジンにセラミックスを含んだハイブリッド樹脂材や虫歯予防効果のあるフッ化物を含有した材料になります。
歯の色調を周囲の歯に合わせたり、歯本来の透明感を再現でき、見た目の美しさも長期間持続することができます。
前歯など目立つ部分の治療、欠けた歯の修復やすきっ歯の改善などにもお勧めの治療方法です。

ダイレクトボンディング法の治療イメージ

■ インレー修復法

歯型を採取して製作した修復物を詰める治療です。
奥歯の歯と歯の間にできた虫歯の治療などに比較的多く用いられる治療です。

修復物には部位や目的、患者様の希望などによって、セラミックス、ハイブリッドセラミックス、ゴールドなどがあります。

インレー修復法治療イメージ

■ クラウン修復法

採取した歯型より製作した修復物をかぶせる治療です。
歯根部を土台として使えればどの歯にでも適用できます。

修復材としては、前歯はレジン（プラスチック）前装冠・メタルボンド・オールセラミックス、奥歯では金銀パラジウム合金・ゴールド・メタルボンド・オールセラミックスなどがあります。
修復物の材質は患者様の目的や希望によって決まります。

左の写真はハイブリッドセラミックスクラウンです。
院長の歯科診療ブログでは、
それぞれの症例写真について寸評をご覧いただけます。

歯髄（歯の神経）は神経や血管の集まりで歯髄腔（根管）に収まっており、歯への栄養補給および歯の痛みを脳に伝達する役割を担っています。

この歯髄が虫歯に侵されると“歯髄炎”を起こしズキンズキンと激しい痛みを感じるようになり、歯髄の壊死は時間の問題となります。
このような場合、これ以上の歯の破壊を防ぐため、歯を残すために、細菌に侵された歯髄を取り除く抜髄処置が必要になります。抜髄後は空洞になった根管内（歯髄腔）の細菌に感染した歯質などを徹底的に除去・無菌化する根管治療をおこないます。
抜髄した歯や歯髄が壊死した歯は栄養補給の絶たれた失活歯となります。

根管治療は空洞となった歯髄腔を完全に無菌化・密封する治療です。
狭いどころか目視すら満足にできない環境下での治療ですが、その後の歯の寿命に影響するため、経験や技術、レントゲン写真などを 屈指して慎重におこなう必要があります。

歯髄炎	歯髄の炎症した虫歯（Ｃ３以上）は自発痛（何もしてなくても痛い）や拍動痛（ズキン、ズキン）があります。 多くの場合、歯を残すことを目的に根管治療をおこないます。
根尖性歯周炎	過去に根管治療をした歯に起こる炎症です。 当時の治療の歯髄腔の無菌化が不完全であったり、根菅充填（歯髄腔の密封）が不完全で細菌が侵入した場合などに起こります。 治療後、数ヶ月～数年かけて、腫れや痛みなどの自覚症状のないまま徐々に悪化することが多く、突然の耐え難い痛みで気付くことになります。